住宅を建てる際、間取りはそこに住む人の快適さを左右します。一方で、外側からその家を見る人のイメージを左右するのが外壁でしょう。そんな外壁の施工方法の1つが「サイディング」です。メンテナンスが必須である外壁ですが、サイディングも塗装する必要があるのか疑問に思う人も多いのではないでしょうか。そもそもサイディングとは何なのかからサイディングのメンテナンスまで、詳しく解説していきます。
1.そもそもサイディングとは何?サイディングのメリットは?
外壁の施工方法には、塗り壁やタイル張りなどの「湿式(しっしき)」と、サイディングを貼る「乾式(かんしき)」とがあります。
サイディングとは、外壁に貼る仕上げ用の板材のことです。一定の大きさに成型した板をサイディングボードと言い、壁のサイズに合わせてカットしながら貼っていきます。現在建てられる住宅のおよそ7~8割がサイディングの外壁を採用していると言われています。
サイディングは耐天候性に優れている点が外壁として最大の魅力です。耐水性にも優れています。漆喰やモルタルなど職人が手作業で塗ったりタイルを貼ったりする湿式に比べて、サイディングボードを貼っていく乾式の方が工事期間も短くて済み価格もリーズナブルに仕上げられるのもメリットです。デザインや種類も豊富にそろっています。
2.サイディングの種類とは?それぞれの特徴は?
サイディングは、サイディングボードの素材によって大きく4種類に分けられます。それぞれの特徴やメリットも合わせて解説していきます。
2-1.窯業系サイディング
セメント質と繊維質とを混ぜ合わせて作られるのが窯業系サイディングです。
タイル風やレンガ風、石積み風などデザインが豊富で価格も非常にリーズナブルなことから、最近の住宅のサイディングはほぼ窯業系だと言っても過言ではないほど主流となっています。セメント質が混ざっていることから地震に強く、耐火性にも優れています。
2-2.金属系サイディング
ステンレスやアルミニウム、ガルバリウムなどの鋼板でできたサイディングが金属系サイディングです。
金属製なので防水性に優れ、耐天候性も抜群です。長期間メンテナンスしなくてもいいのは大きなメリットです。金属系は無機質なイメージがありますが、近年ではレンガ調やタイルさまざまなデザインの金属系サイディングが開発されています。
2-3.樹脂系サイディング
樹脂で形成されているのが樹脂系サイディングです。日本では窯業系サイディングが主流ですが、アメリカではこの樹脂系サイディングが50%以上を占めています。
樹脂系サイディングの魅力は、何といっても軽いことにあります。窯業系サイディングの約10分の1の重さです。樹脂で形成されているので耐天候性に優れ、目地の補修の必要もありません。
2-4.木質系サイディング
天然の木材に塗装をして作ったサイディングが、木質系サイディングです。
木の温かみがあるデザインが魅力で、本物の木を使っていることから2つとして同じ木目が存在しないのも木質系サイディングならではの良さです。
3.サイディングのメンテナンスは、塗装?貼り替え?
住宅を建設する際に「サイディングの外壁なら塗装は不要」だと言われたという人もいるのではないでしょうか。ところが、実際にはメンテナンスする必要があります。雨風や紫外線の影響を受けるので、ひび割れや皮膜の剥がれ、色褪せやカビの発生などの劣化は避けられないのです。
サイディングの種類にもよりますが、築30年までの住宅のサイディングは10年に一度のペースで塗装のメンテナンスするのが一般的です。築30年が過ぎたらサイディング自体の寿命が来る頃なので、外壁カバー工法または貼り替えを行う必要があります。
3-1.メンテナンスの方法①外壁塗装
塗料の種類はさまざまあり、遮熱や断熱、防汚などの機能をプラスできます。サイディングを貼り替えるよりも費用も抑えられます。
ただしサイディング自体の劣化が激しい場合は、塗装しても改善は望めません。約10年後にはまた塗装でメンテナンスする必要もあります。
3-2.メンテナンスの方法②外壁カバー工法
既存のサイディングの上から、新たに軽量のサイディングを重ねて貼る工法です。既存のサイディングを撤去しなくていいので、工期も撤去費用も抑えられるのがメリットです。サイディングが二重になるので、防音効果も増します。
ただし、外壁の重量が増してしまうことで耐震性が悪くなってしまいます。また、新しく貼るサイディングは金属系のものしか選べません。
3-3.メンテナンスの方法③貼り替え
サイディングを全て撤去して新しいサイディングに貼り替えるメンテナンスなら、サイディング内部の損傷を補修したり内部の防水シートの交換をしたりもできます。サイディングを新しくすることで、住宅のイメージをがらりと変えることも可能です。
ただし大規模な工事となるので、費用や期間がかかります。
4.まとめ
リーズナブルな価格と豊富なデザイン、耐天候性の良さなどからサイディングは人気を集めています。ただしどんなサイディングでも劣化していくことは避けられません。定期的に塗装してメンテナンスしていき、築30年を過ぎたら貼り替えや外壁カバー工法も検討していく必要があります。定期的にメンテナンスしていくことで、いつまでも美しい外壁の住宅に快適に住まうことが叶います。